2020年10月16日公開で現在絶賛大ヒットを記録している『劇場版 鬼滅の刃 無限列車編』。映画では興収10億円越えがヒットの基準とされますが、平日金曜日の公開にも関わらず1日で興収12億を突破、週末3日間だけで興収46億円を突破!コロナ状況下で公開本数が少なく、全力でスクリーンを割いたという事情を抜きにしても驚異的な数字です。1週間で興収100億を突破する可能性がみえるほどの盛況ぶりです。
これは間違いなく、日本はもちろん、世界的にも映画史に残る記録となるでしょう。
実は、『劇場版 鬼滅の刃 無限列車編』では先着順で単行本未収録の読み切り漫画付き小冊子がもらえる特典がありました。これが争奪戦になるほどの人気に!数日で配布終了になる劇場も多数出ました。
無料の入場者プレゼント、あなどれません!
今回は、そんな映画の入場者プレゼント最新事情について調査いたしました。
THE 定番!原作者書下ろし冊子特典
先ほど言及した『劇場版 鬼滅の刃 無限列車編』の特典小冊子は、劇場版の陰の主役ともいえる煉獄杏寿郎の初任務を描いたスピンオフ番外編コミック『煉獄零巻』が特典に。先着450万部という特典とは思えない量の部数を用意されていましたが、あまりにも初動の動員数が多すぎてこの部数でも足りないほどに!まさに社会現象級の大ヒットでした。
実は、この原作者書下ろし・未収録作品の小冊子特典は、アニメ映画では定番ともいえる特典なのです。
●ジャンプアニメ映画は原作者描きおろしが定番に?
『鬼滅の刃』と同じジャンプ系のアニメ映画の例を見てみましょう。
2009年12月公開の『ONE PIECE film STRONG WORLD』では、「ONE PIECE 巻零(ゼロ)」が特典として配布されました。国民的アニメということもあり劇場にファンがどっと押し寄せました。振り返ってみるとこれが、ジャンプ系アニメ映画の原作コミック書下ろし特典ブームの原点といえそうです。
2015年8月7日公開の『BORUTO-NARUTO THE MOVIE-』では原作者の描き下ろし読み切り「ナルトが火影になった日」を収録した、「NARUTO-ナルト-[秘伝・在の書]オフィシャルムービーBOOK」を入場者特典として配布。昨年2019年12月20日公開の『僕のヒーローアカデミア THE MOVIE ヒーローズ:ライジング』でも、原作者の描き下ろしマンガなどが掲載された小冊子が入場者特典として配布されています。ジャンプコミックス系アニメ映画の定番ということですね!
ランダム特典・週替わり特典でリピーターにもアプローチ
2020年9月18日公開の『劇場版 ヴァイオレット・エヴァ―ガーデン』では、原作者書下ろしの短編小説が収録された小冊子が入場特典となりました。3種類の小説をランダム配布で、コレクション欲をそそる施策です。リピーターやコアなファン層が、何度も劇場に運ぶことを意識した試みとなっています。
また、初週以降も小説やグッズなどの週替わり特典も用意されており、ロングランでさらに追加特典も用意するなどの施策も行っており、特典配布が映画の来場意欲にしっかりと貢献していることが窺えます。
週替わり特典は、アニメ映画を中心に多くの作品で採用されています。2019年8月30日公開の『この素晴らしい世界に祝福を! 紅伝説』では、初週と第2週で別の書下ろし小説小冊子を入場特典として用意。3週目は5種類からランダム配布のキャライラストを使った色紙パネル、4週目はなんと劇中アイテムを模した「爆裂ライト」を配布。ファン心をくすぐるアイテムをあえて4週目にもってくるなど、リピーター向けの特典施策を行っていました。
こうした施策には特典欲しさにファンが何度も足を運ぶという側面もありますが、 テネットでもリピーターが続出したように 同じ映画を二度三度見に行くというのが新しいスタイルになりつつあるという一面を反映した結果といえるかもしれません。
変わり種? 新定番? 消しゴム風フィギュアなど珍特典
アニメ映画「
2017年11月17日に公開されたアニメ映画「
消しゴムフィギュアは変わり種かと思えば、『ガールズ&パンツァー 最終章 第二話』では「ガルパン 消しゴム風 戦車」が入場者特典に。
最近でも2020年9月11日公開の『荒野のコトブキ飛行隊 完全版』で、3週目の入場者特典として「消しゴム風飛行機」がプレゼントされました。意外と定番の特典なのかも?
ちなみに『荒野のコトブキ飛行隊 完全版』では、4週目の特典も変わり種に。
なんと作中飛行機をモデルにした「隼型ソフトプレーン」が特典に!もはや特典という領域を超えている気がしてきますね!ちなみに、ソフトプレーンとは、輪ゴムを動力にして飛ばすことができる飛行機の玩具です。
全体的に、アニメ映画の特典はファン向けに一味違った工夫をこらしたものが多い印象がありますね!
新時代方式?特典の絵柄をWEB投票で決定
2021年1月8日公開予定の『銀魂 THE FINAL』では、入場者特典となるフィルム風シールに採用されるイラストを、TVアニメ版の銀魂のエピソードからファン投票によって決定するというスペシャル企画を実施しています。特典のフィルム風シールはそれほど珍しくない特典ですが、絵柄をファン投票で決めるというのはWEB時代ならではな感じがしますね。
来場者特典は時代と共に進化する
来場者特典はネット配信ではもらうことができない、映画館までいったからこそもらえるものです。ネットで多くの映画を観ることができる時代になりましたが、こうした劇場で観るからこそのファン心をくすぐるアイテムは今後も様々なバリエーションが登場していくことでしょう。
原作者の手が入ることが多い都合上もあってか、こうした来場者特典の配布が行われるのは邦画が中心となっています。
今後、当面の間は邦画が中心となっていくであろう映画業界で、こうしたファンアイテムの特典に着眼してみると面白い発見があるかもしれません。