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コラム 2020年9月28日

ヒットのカギは競合作品とのバランス??データを分析してみた

「今日俺」「コンフィデンスマンJP」「ドラえもん」と、夏映画にヒット作が続出し、映画業界にも活気が戻りつつあります。

洋画大作がない中でも、好成績を残す映画作品が多数出たこの夏、コロナ禍の中にあってもヒット作が出たというのは明るいニュースですよね。

今回は、この夏のヒット作の傾向から、映画の公開作品の「バランス」に注目してみました。

 

動員が減ると映画の公開数が増える?

2000年~2019年映画公開数・入場者数の推移グラフ
(データ参照元:一般社団法人 日本映画製作者連盟

上記は洋邦映画の公開本数と、映画館入場者の関係をグラフ化したものです。2019年までのここ10年ほどの期間、洋邦合わせた映画の公開作品数は増加しています。

その中でも注目するべきは入場者数が大幅に減少している2011年です。2011年といえば、東日本大震災の年です。映画館の休業も多く、入場者数が減るのも仕方がないことでしょう。

入場者数自体は、その後順調な回復を見せていますが、それ以上に公開本数が爆発的に伸びているのです。

あくまで予測ではありますが、震災で動員が減ったことで、1作品あたりの公開期間が短くなり、いわゆるロングラン作品が減った結果、今までよりも多くの映画を公開する余地が増えたと推測できませんか?

動員が戻った後も、公開本数が減ることはなく、 むしろさらに増加する傾向が続いています。

ハリウッド大作や邦画の大規模作品以外にも、ヨーロッパやアジア、インドなどの様々な国の作品や、インディーズ映画など、様々な種類の映画が上映される機会ができ、作品の選択肢が大きく広がった分、観る側も「選んで観る」習慣ができたのかもしれません。

今ではインドは映画大国として知られていますが、おそらく十年前ではほとんどの作品が日本では公開される機会がなかったはずです。

災害による動員の減少が、逆に小規模映画を公開する機会を増やしたとすれば、コロナ禍で大作が延期、製作休止が相次いでいる2020年から2021年にかけて、小規模映画の佳作が数多く誕生する可能性があります。

 

映画の公開はバランスが重要?

公開日 作品名 総動員数(9月22日時点)
7月17日 『今日から俺は!! 劇場版』 412.3万人
7月23日 『コンフィデンスマンJP プリンセス編』 265.2万人
8月7日 『映画ドラえもん のび太の新恐竜』  253万人

2020年夏興行の中でも前半に公開されたこの3作品は、どれも成功を収めました。コロナ禍で、席数制限があったことを考えればかなりの数字です。

「今日から俺は!!」と「コンフィデンスマンJP」はどちらも、人気ドラマの劇場版。どちらもコメディ色が強い作品ですが、片や昔っぽさが逆に新しいヤンキーコメディで若年層を幅広く集客する郊外型、片や詐欺師を題材にした頭脳派騙しあいドラマで女性を中心に集客する都市型、完全に客層が被っている作品ではありません。そして「のび太の新恐竜」はいわゆるファミリー向け作品で、こちらは完全に客層が別です。
また、3作品の公開日がすこしずつずれていることもプラスに働いた要因と言えるかもしれません。

同ジャンルでも競合しないひけつは?

公開日 作品名

総動員数(9月22日時点)

8月14日 『弱虫ペダル』 50.6万人(18日時点)
8月14日 『思い、思われ、ふり、ふられ』(実写版) 62.3万人
8月21日 『糸』 141.5万人

同日公開の『弱虫ペダル』、『思い、思われ、ふり、ふられ』は、どちらも漫画原作の作品。題材もキャストも、学生などの若年層をターゲットにした作品といえるでしょう。どちらも良い成績を残しています。しかも、「弱ペダ」「ふりふら」は8月14日の同日公開です。

【グラフ出典:filmarks】

「ふりふら」は10代が圧倒的に多く来場しています。少女漫画原作という特性もあってか、若年層向けのデートムービーとして若者が二人以上で観に来るケースも多かったことが想定できます。全体の4分の3が20代以下という結果です。

【グラフ出典:filmarks】

一方、「弱ペダ」は、10代の割合が一番多いものの、驚くほど年齢層が幅広い客層となっています。これは、原作が少年漫画の中でもかなりの長寿連載作品であり、長年愛読している原作読者層の年齢層を取り込んだ結果といえそうです。また、部活モノで恋愛要素が薄めのため、デートムービーにはならず、個人の客、友達同士の客が多かったのではないかと推測できます。

同じ若年層向けコミックスが原作の青春映画というカテゴリにありながら、ターゲット層が被らなかったために客層の奪い合いにならなかったのでしょう。

そして、この2作品よりも1週後の公開になった『糸』。こちらは「ふりふら」と「恋愛映画」という点で共通しますが、中島みゆきの楽曲を元に作られた大人のラブストーリーであり、「ふりふら」とは客層がかぶらなかったのがヒットの要因といえそうです。

結果として、8月後半公開でヒットした3作品も、客層・公開日の上手くバランスが取れていたといえるのではないでしょうか

 

映画は「作品属性」で選ぶ時代に

『事故物件 怖い間取り』より

8月28日公開の『事故物件 怖い間取り』は、大ヒットスタートとなりました。9月22日発表時点で動員は143.7万人を超え、快進撃が続いています。この大ヒットも、他にジャパニーズホラーの競合がいなかったのがヒット要因として考えられそうです。

映画のヒットには、同時期にどんな映画が公開されているか? が大きな影響を与えていると考えられそうです。

今後、公開作品数がさらに増えていくと、作品ごとの競合関係も激しくなることが予想されます。

その中で、いつ公開するか、その時同時期にどんな作品が公開されるか、がヒットの大きなカギになってくるかもしれません。

 

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