1月29日、毎年公表される映画業界の統計「全国映画概況」が日本映画製作者連盟(映連)より発表されました。最新の発表データをもとに、最近の映画興行トレンドを振り返ります。
総入場者数1.4億人、邦画は過去最高記録を更新
興行収入は2,069億円、総入場者数は1億4,444万人となり、前年を下回る結果となりました。公開本数は前年より42本増加しましたが、前年のハリウッドのストライキなどの影響により洋画作品の本数が減少し、大きなヒット作が生まれなかったことが主な要因です。
一方、注目すべきは邦画の大躍進です。邦画の興行収入は1,558億円となり、前年比105%を記録。これまで最高だった2016年の記録を上回り、歴代最高興収を達成しました。
全国のスクリーン数も、昨年開業した「ローソン・ユナイテッドシネマ STYLE-S みなとみらい」「T・ジョイ エミテラス所沢」「109シネマズゆめが丘」など新規映画館の影響で、前年より22スクリーン増加しています。
100億円越えの作品は2本、アニメ作品の強さがさらに際立つ
2024年の映画興行収入ランキングでは、興収100億円を超えた作品が2本誕生しました。『名探偵コナン 100万ドルの五稜星』(158.0億円)と『劇場版ハイキュー!! ゴミ捨て場の決戦』(116.4億円)です。上位20作品のうち12作品がアニメであり、興収10億円以上の作品のうちアニメが占める割合は57%に達し、2000年以降で最も高い比率となりました。
この結果は、日本国内でのアニメ映画の圧倒的な人気と市場の強さを改めて示しています。この傾向は一過性のブームではなく、長期的な市場成長の要因として今後も注目されるでしょう。今年も多くの話題作が公開予定であり、興行成績へのさらなる貢献が期待されています。
2025年の映画業界の見通しは?
では今年2025年の映画業界はどうなるでしょうか。待機となっていた洋画作品、特に実写作品が続々と公開となり、大きな巻き返しが期待できそうです。5月には『ミッション:インポッシブル/ファイナルレコニング』が公開予定。そのほかにも『ジュラシック・ワールド』や『スーパーマン』など、知名度の高い人気シリーズの最新作が続々と登場します。これらの作品は、世界的なファンベースと圧倒的なスケールで、国内外の映画ファンの注目を集めること間違いありません。
また、アニメ作品も引き続き強い存在感を示しています。邦画市場では、2024年に続き、人気アニメの劇場版や新作オリジナル作品が多数公開予定です。『名探偵コナン』などのシリーズ作だけでなく、『チェンソーマン』などスクリーン初登場となる新たなヒット作の誕生にも期待が高まっています。アニメ作品は幅広い世代に支持されており、安定した動員力を誇るジャンルとして今後も成長が続くでしょう。
業界内では、2024年の興行収入を大きく上回るとの見方が強まっています。洋画・邦画ともに大型作品のラインナップが充実していることに加え、新規映画館の開業やスクリーン数の増加が市場拡大を後押しする見通しです。これにより観客の選択肢が広がり、映画館への集客効果も一層高まることが予想されます。
2025年は、映画ファンにとって見逃せない一年となるでしょう。多様なジャンルと規模の作品が揃うことで、映画館のスクリーンはより一層の活気に満ちるはずです。