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TOP > 更新情報 > 【ヒット分析】『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』が異例の大ヒット!その要因をさぐる
コラム 2024年1月11日

【ヒット分析】『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』が異例の大ヒット!その要因をさぐる

11月から大作が次々と公開され、群雄割拠となった年末年始興行も一段落。皆さんは、どんな映画を観られましたか?『ゴジラ-1.0』や『翔んで埼玉 琵琶湖より愛をこめて』、『ウォンカとチョコレート工場のはじまり』、『ウィッシュ』、そして『劇場版 SPY×FAMILY CODE: White』などの大型作品が盛んに話題となっていましたが、その中で異例の興行を見せていた作品があるのをご存知でしょうか?

それは『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』です!

初週上映館253館と中規模公開ながら、11/17日(金)の公開から8週連続で動員ランキング10位以内にランクイン。初週から4週目までは、毎週前週比を超える右肩上がりの力強い興行を見せています。この異例のヒットの原動力を分析しました。

 

そもそも『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』とは?

(C)映画「鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎」製作委員会

まず『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』について解説します。
『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』は2023年11月に公開したアニメーション映画です。原作者の水木しげるの生誕100周年記念作品となっています。
TVアニメ「ゲゲゲの鬼太郎」6期の前日譚となりますが、ストーリーとしては独立しており、行方不明の妻を探す目玉おやじになる前の鬼太郎の父(作中では水木に「ゲゲ郎」と呼ばれる)と、野心を持つ復員兵のサラリーマン水木が、閉鎖的な哭倉村(なぐらむら)で出会い、村の実権を握る龍賀一族の恐ろしい秘密に迫っていく内容となっています。鬼太郎のオリジン的な内容で、鬼太郎の父(ゲゲ郎)と水木のバディものとしても楽しめます。
1月6日時点でついに興収20億円を突破。ロングランヒットとなっています。パンフレットの売れ行きも良く、初日~数日で完売する劇場が続出。東映オンラインストアの通販は、パンフレットやグッズの受注開始からアクセスが殺到し、一時は8,000人待ちになるほどの盛況となりました。

 

リピーター獲得施策に注目

(C)映画「鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎」製作委員会

近年、来場者特典を配布する作品が増えています。公開初日から配布する特典だけではなく、3週目、4週目と週を変えて特典を配布し、リピーター獲得をする作品も珍しくありません。『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』でも、3弾に渡って来場者特典が配布されました。1月13日からは来場者特典第4弾の配布も決定しています。
また、作品の反響を得て応援上映も決定。全国5劇場で開催。メイン会場となった新宿バルト9では、予約開始後わずか1分で満席になるなど、チケットが争奪戦になりました。こうしたリピーター施策が功を奏したのはもちろんでしょう。ただ、それだけでは他の作品と大きく違ったところはありません。注目するべきなのは公式のSNSでの発信力。公式Xを頻繁に更新し、設定画の公開や、記念イラストの公開、さらに感想投稿キャンペーンを開催するなど、SNSで口コミを増やす施策がなされていました。

非常に幅の広い来場客層

 

『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』観客層
           ※Filmarks For Marketing

データによると、『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』は男女ほぼ半々の集客を見せているようです。世代も20代~40代をメインに幅広く分布しています。TVアニメシリーズの6期のメインターゲットが日曜朝放送でターゲットがファミリーであったことを考えると、ここまで年齢層が広がったのは意外かもしれません。
しかし「ゲゲゲの鬼太郎」というコンテンツは、TVアニメシリーズが6期にわたって作られているのです。第1期(1968年~)、第2期(1971年~)、第3期(1985年~)、第4期(1996年~)、第5期(2007年~)、そして『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』と繋がる第6期は2018開始。アニメの初回放送はなんと56年前。第1期の頃はカラーですらありませんでした。つまり「鬼太郎」というキャラクターは、子供からシニアまで幅広い層に十分な認知度があるのです。しかも『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』は、PG12区分で「大人向け」として作られています。この作品自体は6期TVアニメに繋がるコンセプトの作品ですが、大人向けに振り切ったことで老若男女を問わず集客することができたのだと推測します。

 

女性ファンが積極的にSNSで拡散

(C)映画「鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎」製作委員会

先ほどのデータ上では男女の客層は半々になっていますが、WEBメディアの『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』関連の記事では「女性が多い」と書かれているケースが主流のようです。筆者も何度か観に行きましたが、観に行った場所(池袋)の土地柄か、非常に女性が多かった印象です。取材が行われている劇場は都心が多いと思われますので、もしかすると都会の劇場では女性割合が多くなって、郊外の劇場では男性も来場しているのかもしれません。
Xなどを検索すると、女性ファンの口コミやファンアートがたくさん見つかります。女性は良かったものを積極的にSNSなどでシェアする層が多く、『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』も、口コミで話題になる→観に行く人が増えるという話題の連鎖が発生しているようです。

 

最近のヒット作のポイントは”昭和レトロ”!?

(C)映画「鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎」製作委員会

『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』は昭和31年が舞台。主人公の水木は昭和の男らしく、劇中でも場所を選ばずよく煙草を吸っています。歩き煙草もすれば寝煙草もします。今ではあまり考えられないことですね。昭和中期、レトロな世界観となっています。
偶然にも、2023年の冬興行は戦時中・戦後の日本を描いた作品が多数公開されました。戦時中の日本を描いたのは『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』、『映画 窓ぎわのトットちゃん』、戦後の日本を描いたのは本作『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』と『ゴジラ-1.0』。昭和という時代に注目が集まっているようです。
例えば、2020年の『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』は400億円超えの超ド級ヒットになりました。「鬼滅の刃」は大正時代の物語です。「鬼滅の刃」のアニメが大ヒットして以降、昔ほど近代以降(明治・大正・昭和)な世界観のフィクションを観るのにハードルなくなっているように感じます。

邦画のヒット基準は、興収10億円と言われています。中規模公開のアニメ作品ながら興収20億円を突破した『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』はまさに快進撃といったところ。
公開はまだしばらくの間続くようなので、ここからどれだけ数字を伸ばせるのか、注目です!

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